Tamron 70-180mm F2.8 Di Ⅲ VC VXD G2を初代と比較 私の用途だと買い替え不要かな
2023年10月にTamronがF2.8通しの望遠ズームレンズ「70-180mm F2.8 Di Ⅲ VC VXD G2」を発売しました。これは同焦点距離の初代モデルA056に対する2代目となります。
初代モデルA056を所持している私としては進化具合が気になるところですので、初代A056と2代目A065の比較を行いました。(28‐75mm F2.8 の初代と2代目の型番はA036とA063。数字をひっくり返すのが通例なんですかね。3代目を発売するとなったらどうするんだろう。)
観点
基本的な用途は子供(小学生高学年と幼稚園児)の写真撮影で、室内でのお遊戯会等を撮影するのに使用します。
※屋外での行事(運動会とか)はF値がもっと暗く、もっと望遠出来る別のレンズを使用します。
また、カメラ本体はasp-c機のα6700を使用しておりフルサイズ機ではない為、少し特殊な条件かもしれません。
特徴
手ぶれ補正搭載
初代:手ぶれ補正機構無
2代目:手ぶれ補正機構有
初代との大きな差の1つです。初代は手ぶれ補正がありませんでしたので、必要な方にとっては非常に魅力的なアップデートだと思います。
更に、Tamron公式サイトの記述によると"焦点距離100mm以下では、AI(人工知能)テクノロジーの活用により動画撮影に配慮した補正効果が得られるなど画質の低下を抑え、レンズ本来の描画性能を心強くサポートします"とのことで、本レンズの焦点距離で頻繁に動画撮影をされる方にとっては魅力的な機能です。
私の使用用途は写真で、暗い場所でもシャッター速度を稼ぐためF2.8通しを選んでいますので、必然的にシャッター速度は高速に設定します(基本的には1/250sで場合によっては1/125s)
一般的に手振れが起きない(気にならない)ようにするには「シャッター速度 < 1÷焦点距離」と言われています。
私が使用しているのはaps-c機なので、フルサイズ換算で1.5倍、つまり最大180mm×1.5=270mm。つまりシャッター速度は最低1/270s以下が推奨されます。
少し甘く見ると1/250sが必要ということになりますが、実際1/250sで子供のお遊戯会を撮影していて、手振れ量産というとことになったことはありません。(被写体ブレもこのシャッター速度であれば特に気にならない)
しかも我が家の場合、動画撮影を私が行い、写真撮影はそこまでカメラの扱いに慣れていない奥さんが担当となっていますが、手振れはそれほど起きていません。(現在はα6700を所持していますが、かつてはボディ内手振れ補正無のα6400を使用していました。それでも前述の結果でした。)
ですので、私のようにお遊戯回会等の室内での子供撮影においては、被写体ブレ防止をしようとシャッター速度を上げた場合、必然手振れ補正は必要ないということになります。(もっと焦点距離が長いレンズは別)
ただ、もし恩恵があるとすれば撮影後にクロップした際に手振れが目立ち始める可能性があるということです。そのあたりは実際の撮影距離からクロップを多用するかを予想するしかありません。α6400等のボディ内手振れ補正比搭載機で撮影される方は、お遊戯会等で座った席が子供のいる場所から遠い場合はでは恩恵が得られるかも。
光学設計を一新
Tamron公式サイトによると"設計を一から見直し、ズーム全域において妥協のない光学性能を実現“しているとのこと。実際にレンティオなどのレンズ比較サイトを見ても光学性能が改善しているようです。
子供の行事などでしか使用しない私にとってどれだけ恩恵があるかは別にして、解像度の向上はありがたいです。実際室内のお遊戯会だとapsc機でも望遠側が少し足りず、撮影後に拡大することが結構ありますが、解像度が向上していればある程度の拡大でもアラが見えづらくなります。
レンティオのレビューを見ると、周辺部でも解像度が高いとのことです。apsc機を使用している私としては中央部しか使わないので、少しもったいない気もしてしまいます。
最近のレンズは中央部だけに限れば「解像度が悪い」というレビューのレンズを見たことが無いです。apsc機でフルサイズ対応レンズを使用している場合、レンズの端の方は使用しませんし、さらに子供撮影であれば自分の子供を中央に置いて、端に映るものはほとんど気にしないので、解像度に対して心配することはほとんどないかもしれません。実際私も初代のレンズで不満は無いです。
小さく、軽量
初代:70mm時の長さ149mm、質量810g
2代目:70mm時の長さ156.5mm、質量855g
手ぶれ補正機構の追加、光学系の刷新、後述のTamron Utilityが追加されているにも関わらず、これだけの長さ、質量UPで抑えているのは、初代から買い替えを検討する方にとってありがたいです。
AF性能の改善
構造としては初代と同様のvxdですが、Tamron公式サイトによると初代よりもAF性能が改善されているとのこと。初代のレンズでAFに不満がある方にとってはありがたい改善点です。
私の使用用途であるお遊戯会等の室内撮影の場合、子供が激しく前後に動くということがあまりありません。舞台上で何かをしているのを撮影するのがほとんどだと思いますが、舞台の奥行きに制限があるので、望遠で撮影すると前後移動を舞台の奥行きいっぱいされても大したフォーカス移動にならず、AFが超高速でなくても撮影にほとんど困らないのが実態です。なので私には恩恵が少ないかな。AF性能が良いに越したことはないですけど。
AF時の最短撮影距離が改善
初代:0.85m(ズーム全域)
2代目:0.3m(WIDE)/0.85m(TELE)
2代目はAFでWIDEが0.3mと言うのが進化点ですが、初代もMFの場合であれば70mmでの最短撮影距離が0.27mです。
このレンズを使用して0.3mでAFを使いたい場面があまり思いつきませんでした。物撮りしたい場合MFを使いたくなってくるので、初代との差が消えます。(あるとすれば、お遊戯会後に子供が親のところに帰ってくるので、そこで子供を撮影するときに最短撮影距離が必要になる場面があるかもしれません。でもたぶんアップになりすぎてしまうので、やっぱり使わないかな)
USB-Cでファームウェアアップデートやカスタマイズ可能
最近のTamronレンズに搭載されるようになったUSB-C端子ですが、機能としては
- 動画撮影におけるフォーカス設定
- フォーカスリング設定
- フォーカスリングを絞りリングへ切り替え
- レンズのファームウェアアップデート
等、結構色々なことが出来ます。
詳しくはTamron公式ホームページを確認してみて下さい。私としてはフォーカスリミッターが子供撮影に便利そうだなと思いました。撮影者の手前に親御さんがいて、その人たちの後頭部にピントが合ってしまうことが時々あるので。
※フォーカスリミッター(引用:Tamron公式ホームページ)
この機能を使うと、撮りたい被写体の手前に障害物があるようなシーンで、障害物にピントが合うのを防ぎます。また、撮影距離を一定範囲内に制限することで、被写体からピントが外れたときにも素早くピント合わせが可能です。
結局買い換えるか否か
初代(A056)の使い方(子供の室内行事がほとんど)から考えると、光学性能とUSB-Cの搭載が魅力的ではありますが、下記の理由から一旦買い替えは見送ろうかなと思っています。
手ぶれ補正機構:子供撮影の場合は被写体ブレ防止のためシャッター速度を1/250sくらいに設定するので、手ぶれ補正機構はそこまで必要ない。(α6700はボディ内手ぶれ補正もあるし)
AF性能の改善:レビューによって賛否あるのと、お遊戯会などでは前後に激しく被写体が動くことがあまりないので、初代のAF性能でも十分対応できた。
最短撮影距離(AF時):基本このレンズで0.3mまで近寄って撮影しないし、物撮りを稀にする場合もMFなので初代との差がない。
価格が高い:初代を売ったとしてもプラス5、6万円は追加投資が必要。
最後に
私は買い替えを見送りましたが、動画撮影をされる方や初代の光学性能、AF性能に不満はあるが、SONY純正のGMレンズとかは高すぎるという方には良い選択肢になると思います。
また、初代と2代目どちらを買うかで迷っている場合は、思い切って2代目を購入することをお勧めします(私が保留と判断しておいてなんですが)。
なぜなら中途半端に先代機を買って不満が出てくるよりも、最新版を購入してその機能の恩恵を受けた方が満足するからです。子供の撮影は取り直しのきかないものなので。(レンズは大事に使えばある程度の価格で売れますしね、特にフリマが普及した現代だと。)